Masakazu Yoshida

英語にあって日本語にないもの

2015-01-24 09:00

英語にあって日本語にないものは、なんでしょうか。答えは、いろいろ考えられると思います。

個人的には、「数の区別」と「特定/不特定の区別」ではないかと考えます。英語に深く触れる時間が増すにしたがって、日本語で文章を書くときに、「数の区別」と「特定/不特定の区別」を自然に表わす方法がないことが、とても不満に感じられます。

まず「数の区別」について。

「数の区別」とは、単数と複数の区別、つまり、あるモノ・コトが、一つしかない場合と、二つ以上ある場合の区別です。日本語には「〜個の〜」のような数詞表現はあっても、語(名詞)そのものに数の区別は内在しません。日本語の代名詞には、「私/我々」「彼/彼等」など、一応、単複の区別はありますが、翻訳調というか、自然な日本語にはなりにくいですし、日本語では、そもそも主語が省略されてしまうことの方が多いでしょう。

「特定/不特定の区別」についてはどうでしょうか。

日本語にも、「これ」と「あれ」というように、近くにあるものを指す言葉(近称)と遠くにあるものを指す言葉(遠称)の区別はあります。しかし、それは、英語の「the」と「a, 冠詞なし」の区別とは似て非なるものです。「the」の特定の感覚は、とても精妙なもので、「the」は、英語で最も頻繁に使われる単語の一つですが、意味を的確に言語化して説明できる人は多くないと思います。(すいません、私には無理です。)

「数の区別」と「特定/不特定の区別」を持たない日本語だけで考えていると、そのような問題があることすら意識に上ることがないでしょう。しかし、英語の論理に日常的に触れることにより、ものごとを順序立てて説明するときに、「数の区別」と「特定/不特定の区別」が自然と頭の中に忍び込んできます。

これらの違いは、決して小さくありません。