Masakazu Yoshida

「Sunny 16 rule」の練習

2015-04-19 14:00

「Sunny 16 rule」をご存じでしょうか。これは銀塩写真の時代からある、露出計を使わずに写真の露出を決めるときに、覚えておくと便利なルールです。

「Sunny 16 rule」とは、具体的には、「晴天時の屋外で、レンズの絞りをf/16、シャッター速度をISO感度の逆数に設定すると適正露出になる」というルールです。たとえば、感度がISO 100の場合は、絞りがf/16、シャッター速度1/100が適正露出、ISO 400の場合は、絞りがf/16、シャッター速度1/400が適正露出になります。もちろん、曇のときや、日陰にある被写体に露出を合わせたい場合は、上のルールに補正をかけていきます。

デジタル・カメラ時代にあって、はたしてマニュアルで露出を決める必要はあるのでしょうか。答えは、Yesであり、Noでもあります。まず、普通に写真をとるだけならカメラの自動モードに任せておくのが無難です。カメラの自動露出(AE)はとてもよくできています。しかし、シロウトの私でも、マニュアル露出をした方が便利だと思う状況は、2つぐらい思いつきます。

まず、一つ目は、AEでは露出がちゃんと決まらない状況が往々にしてあるからです。

たとえば、明暗のコントラストが強い被写体や、画面の暗い部分と明い部分の比率が極端なシーンについては、カメラの出す露出は、撮影者の意図する露出から外れてしまうことが多いです。そのような場合は、露出補正ダイアルを使って、カメラが出した露出を修正するのですが、「カメラが計算した露出」に補正値を加えるやりかたでは、(1) カメラの露出が適正がどうか判断し、(2) 補正値を頭で計算し、(3) 露出補正ダイヤルを操作、という何段階もの認知/操作のプロセスが入るので、ストリートでの素早い撮影にはむきません。

また、そもそも、カメラが出す露出はカメラによって異なります。カメラのクセがあるので、自動露出+補正にばかり頼っていると、カメラをかえると、また一からやり直しになって、いつまでたっても上達しないということもいえそうです。

もう一つの理由は、撮影した写真の露出の一貫性を保つためです。

たとえば、ポートレート写真を撮影しているとしましょう。その場の光の状況は一定ですが、構図や背景を変えて連続して撮影してきます。するとどうなるでしょうか。カメラの自動露出に任せていると、まず間違いなく、シーンやショットが変るたびに露出が少しづつ変化し、撮影した写真を並べて見比べると、あるショットでは被写体が明く写っていたり、別のショットは逆に暗く写っていたりすることでしょう。これでは、うまくありません。後からRAW現像で写真の明るさを補正することは可能ですが、最初にマニュアル露出で被写体のトーンを決めておけば、手間もかからず、よい結果が得られるでしょう。

自分で「Sunny 16 rule」を実践してみて感じることは、被写体に当って反射している光に敏感になる、「あそこの光を写すなら、露出はこのくらいにすれば、こんな感じに写る」ということが、いやでもわかってきます。

ここしばらくは、昼間の屋外の撮影で、「Sunny 16 rule」のマニュアル露出の練習を続けていきます。

なお、私が使っている露出の組み合わせ表は、次のとおりです。

Sunny (Disitinct Shadows):  ISO 400  -  f/8  -  1/1000
Hazy Sun (Soft Shadows):    ISO 400  -  f/8  -  1/500
Cloudy (Barely Visible):    ISO 400  -  f/8  -  1/250
Overcast (No Shadows):      ISO 400  -  f/8  -  1/125
Shadow:                     ISO 400  -  f/8  -  1/60

注: ISO感度と絞りを固定して、シャッターダイヤルだけで露出を合せます。換算35ミリの広角レンズで絞って被写界深度を深くする前提の表です。ベース感度のISO 200ではなく、ISO 400にしているのは、表の全域で、カメラぶれ/被写体ぶれが少ないシャッター速度にしたいためです。